特定非営利活動法人ぽしぶる 沖縄支店

長く働くために

長く働くために

腰痛予防

介護と腰痛の関係

「介護=きつい、腰痛になる」というイメージが一般的にあります。
実際に、看護や介護業界は、他の職種に比べて腰痛者が多く、腰痛者の割合は増加傾向にあります。

介護と腰痛の離職率の関係

介護職における腰痛は、離職の直接的な主因(約46%が腰痛で離職を検討) であり、職業病とも言われる深刻な課題です。
約6割の介護職員が腰痛を抱え、慢性的な身体的負担が離職意図と強く関連しています。

腰痛の原因

腰痛の約85%が、主に長時間の同じ姿勢、前かがみ動作による筋疲労、運動不足による筋肉低下、ストレスが原因。
残りの約15%は椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症のほか、内臓疾患や骨粗鬆症などの原因によります。

介護現場における腰痛の原因

腰痛の一因として、「人力による抱え上げ」があります。
厚生労働省の指針では、「満18歳以上の男子労働者が人力のみにより取り扱う重量は、体重のおおむね40%以下となるように努めること。女子は男性の60%(体重の約24%)以下とする。」と明示されています。
この重量を超えれば超えるほど、腰痛になるリスクもぐんぐん上昇してしまいます。

日常生活における腰痛の原因

実は、日常生活にも腰痛になるリスクはたくさんあります。
◎姿勢が悪い
◎長時間同じ姿勢でいる(スマホやパソコン操作、車の運転等)
◎食事が偏っている
◎運動不足
◎睡眠不足
◎ストレスがたまっている・・などなど
つまり、仕事中だけ腰痛予防を意識するのではなく、日常生活も見直し、改善することも必要ということです。

腰痛の怖さ

・特異的腰痛「15%」:医師の診察や検査で腰痛の原因が特定できる腰痛。
・非特異的腰痛「85%」:厳密な原因が特定できない腰痛。一般的に腰痛症と呼ばれるものは非特異的腰痛。

「私は大丈夫」「今は大丈夫」「これくらい大丈夫」と軽く考え予防を怠っていると、どんどん腰へ負担が蓄積され、ある日突然、腰痛になってしまうことがあります。一度腰痛になると、痛みが治まったとしても、再び痛めやすくなってしまいます。
また、痛みが完全にはなくならず、腰痛を抱えながら生活していかなくてはいけなくなることもあります。体を動かすことを避けるようになるため、筋力や体力の低下や、いつもはできていた家事や趣味が行えなくなることで、日々にメリハリがなくなり、ストレスを生み、食欲低下や不眠にも繋がりかねません。
痛みは急性・慢性を問わずに常にストレスを与える要因であるため、精神的負担も大きくなります。つまり、腰痛は、人生に大きな影響をおよぼす可能性があるため、痛くなる前に予防をすることが大切です!(すでに腰痛を抱えている方も、痛みがひどくならないようにケアしていく必要があります!)

腰痛予防に取り組む目的

当法人が腰痛予防に取り組むのは、介護する側(介助者)の身体を守るためです。介助者の皆さんが、腰痛で働けなくなり、QOL(生活の質)が低下してしまわないようにするためです。
介助者が元気で楽しく、長く働くことができれば、介護される側(ご利用者)の地域生活も安定し、お互いがHAPPYになれると考えます。

腰痛予防への取り組み

腰痛者0を目指し、ご利用者も介助者もともに考え、様々な取り組みや工夫を行っています。
・ノーリフティングケアポリシーの推奨
・福祉機器、福祉用具の活用
・腰痛健康調査

ノーリフティングケアポリシー

当法人が大切にしている考えとして、ノーリフティングケアポリシーがあります。
ご利用者、介助者の双方において、安全で安心な「抱え上げない・持ち上げない・引きずらない」ケアとは何かを考えることです。
介助者がご利用者を抱え上げて移動させることも重労働ですが、その最中に転落したりどこかにぶつけたり等で、ご利用者の皮膚等を傷つけてしまうこともあり、お互いにリスクがあります。
どのようにすれば、ご利用者も介助者も、健康が保障されるかを考えます。

ノーリフティングケアの取り組み

2013年度以降、腰痛予防ベルト購入をはじめ、毎年度、各種講習(腰痛予防研修、マネジメント研修、基礎研修講座、指導者養成講座)を受講しております。

福祉機器・福祉用具の活用

現場においては、リフター、スリングシート、スライディングシート等の福祉機器や福祉用具を活用し、双方の安全を守りながらケアを行います。
機器・用具の導入により、介助者が複数人いなくても、ベッド⇔車椅子など、簡単に乗り移りができます。また、無理に体を持ち上げたり、引きずったりしないので、皮膚を傷つけるリスクの軽減につながります。

腰痛健康調査の内容

2018年8月より、腰痛の危険性に早く気づき、対処することを目的に、全スタッフに対して、年に1回腰痛健康調査を行っています。腰痛の原因となるリスクがどこに潜んでいるのか調査し、腰痛になる前に予防の提案をさせていただいたり、すでに痛みがある方には、改善に向けて一緒に考えさせていただいています。主な調査項目は以下のとおり。
・食事や運動の習慣
・腰を含めた全身体の状態
・身体的疲労や精神的疲労
・通院の有無
・腰痛予防ベルト着用状況
・きついと感じる介助、危険に感じる介助、日常生活できついと感じること

腰痛健康調査の検証

腰痛健康調査結果において、特に腰痛のリスクが潜んでいるのは下記の3点でした。
1.中腰姿勢になる(顔を洗うときなど)
2.同じ姿勢が続く(就寝時、長時間座る・立つなど)
3.下肢の筋力低下(つまずき、だるさを感じる要因になる)
3点の防止策として、以下を推奨しています。

1-1.中腰姿勢にならないためには

前かがみにならないように意識しましょう!
例えば、顔を洗う場合であれば、両足を肩幅程度に開き、膝を曲げ、腰を落とし(スクワットをするような体勢で)、顔を洗います。食器洗いをする場合も、両足を横に開いて腰を落とせば、腰を曲げずに洗うことができます。足を開く以外の方法の一つとして、椅子に座りながら行うというのもあります。前かがみになったり、前かがみの状態が続いた場合は、できるだけ早く、腰を後ろに反らすように伸ばしてストレッチしましょう。後回しにすると、腰の疲労は取れにくくなります。

1-2.支持基底面を意識することも大切です

中腰姿勢を避けるには、支持基底面(※)の中に、体の重心がある(下左図)ことが大切です!※支持基底面:体重を支えるために必要な床面積

1-3.支持基底面から重心が出ると‥

支持基底面(青い丸部分)から重心(赤い矢印)が出ると、腰でバランスを取ろうと筋肉が強張り、腰にストレスが溜まります(右図)。このストレスの積み重ねが、腰痛につながります。
また、また、遠くの物を手だけ伸ばして取ろうとすると、腰に負担がかかります(右図)

ベッドに手や膝をつくと、支持基底面が広がり、腰への負担が解消されます(右図)。

床にある物を手だけ伸ばして取ろうとするときも、腰に負担がかかります(左図)。足を広げ、膝を曲げて腰を落とす※と、取りたいものが支持基底面の中に入り、腰への負担が解消されます(右図)。
※しゃがむときは、両膝を曲げるのではなく、片膝は立てておく方が、腰への負担はより少なくなります。

1-4.ひねり(ねじり)にも気をつけましょう

腰のひねり(ねじり)も腰痛につながります(左図)。物などを動かすときは、上半身だけで動かすのではなく、まず片足の足先を動かしたい方へ向けてから上半身を動かしましょう。ポイントは、鼻・手の指先・へそ・足の指先が、すべて同じ方向を向いている(右図)ことです!

2-1.同じ姿勢を続けないためには

同じ姿勢が長時間続くことも、腰痛につながります。体勢を変えたり、ストレッチなどで体をほぐしましょう!就寝中は無意識なので、寝返りがスムーズにできるように、就寝環境を整えることが大切になります。
・寝返りするスペースが十分にあるか(ぬいぐるみ等の物が、寝返りの妨げになっていませんか?)
・枕の高さは適切か(仰向けになったときに、頭と体が一直線になっているのがベストです。)
・衣類は適切か(スカートは体に巻きつき、寝返りの妨げになるので避けましょう。)

2-2.ストレッチの例(漸進的筋弛緩法)

腕や肩、背中といった主要な筋肉に対し、10秒間力を入れて緊張させた後、15~20秒間力を抜いて筋肉を緩めます。
緊張した筋肉を解きほぐすことで、心も一緒にリラックスできます。

2-3.ストレッチの例(背中・腰・上半身)

「こころの耳(厚生労働省の働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト)」より引用

2-4.ストレッチの例(これだけ体操)

東京大学医学部附属病院22世紀医療センター運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座特任准教授の松平浩氏が監修されている体操です。

3-1.下肢の筋力をアップするには

下肢の筋力アップには、ウォーキング、ランニング、スクワット、階段昇降などなど挙げたもの以外にも、様々な方法があります。ご自身に合ったものを選び、無理のない範囲で行いましょう。何よりも継続することが大切です!

3-2.下肢の筋力アップによるメリット

下肢の筋力がアップすると、つまずきやだるさの改善だけではなく、腰への負担軽減にもつながります!!
下肢に筋力があると、腰への負担を軽減する「体重移動※」がうまくできるようになるからです。腰のみを使って介助すると、負担がすべて腰にかかってしまいますが、腰と下肢を使って介助すると、負担が下肢にも分散され、腰痛のリスクが軽減します。
※体重移動とは:下肢も使いながら介助をすること

3-3.体重移動を使った介助の例

◎座り直し( >>こちらの動画を参照ください
※動画の1分20秒から1分40秒までが、特に、下肢も使って介助をしていることが分かりやすい部分となっています。

◎側臥位( >>こちらの動画を参照ください
※動画の4分40秒から5分48秒までが、特に、下肢も使って介助をしていることが分かりやすい部分となっています。

ここまで、腰痛の怖さや、予防に向けた取り組みや対策をお伝えしてきましたが、いざ実践するとなると‥正直、面倒ですよね‥そうなんです。はっきり言いますが、腰痛予防は面倒なんです。そのため、どれだけ便利な福祉機器や用具があっても、また、注意喚起をしても、各々が腰痛の怖さや予防の大切さを理解し、意識して取り組み、習慣化しなければ、腰痛予防の実現は難しいのが現状です。

腰痛予防は面倒くささとの闘い!

あなたは前者と後者、どちらが良いですか?
・面倒だからと、今は楽をして、後々腰痛を抱えながら生活する
・最初は面倒でも、腰痛予防を習慣化して、後々腰痛のない生活を送る
私たちと一緒に、面倒くささと闘い、いつまでも健康な生活を目指しませんか?

メンタルヘルス

長く働くためには、体だけではなく、心の健康維持も大切です。
自身のストレスに早く気づき、うまく対処できることを目指し、年に1回、従業者研修の一つのテーマとして実施しています。
また、必要に応じて個別面談も行なっています。
カウンセリング先の紹介等、他機関への連携も行なっています。

体力づくり、ストレス発散

2021年の腰痛健康調査から、運動不足の方が多いこと、そして、精神的な疲労を感じている方も複数おられることが分かりました。そこで、2022年度より、年に4回、体力向上とストレス解消を兼ねたイベントを企画し実施しています。
◎お花見&ウォーキング
◎有馬富士公園散策
◎BBQ大会など

ケアミーティング

訪問介護のお仕事は、基本的にご利用者と介助者が1対1です。
そのため、介助者の皆さんが普段の介助の中で感じる疑問や悩み等について、介助者同士で話し合う場を、月に1回設けています。
勤務だけでなく、日常生活での困り事等についても話し合い、和気あいあいとコミュニケーションが取れる場となっています。